宇宙開発開拓シリーズ 第2弾   ブラックホール  このストーリー(物語)は、前作ワームホールから地球標準時間で、30年後のストーリー(物語)である。  作者 飛葉 凌  プロローグ  ”I shall return・・・・” (必ずや私は戻って来るだろう もしくは、私はここに戻って来る運命にある)  20世紀中盤 歴史上 第2次世界大戦と記される この世紀2度目の全地球規模の多国間戦争で、当時 日本軍の激しい猛攻によりフイリピンからの脱出を余儀なくされたダグラス・マッカーサー(マッカーサー自身 数少ない失態の1つで、敵前逃亡にあたる)の残した有名な捨てゼリフであるのだが・・・  別の意味で、この言葉の持つ意味を 深く考えながら噛み締めていた。  「俺は、帰ってきた・・・・」  眼の前に広がる世界。 いったいどこまで続いているのだろう?  見渡す限りどこまでも果てしなく広がる漆黒の闇が続く 遥か彼方へと永遠に続いているのかも知れない 多分 終着点はない そんな事無意味に感じてしまう程広大な世界 そうここは宇宙空間 周囲と言っても全方向に対し 永遠に続くと思われる漆黒の闇が続く世界。 そんな漆黒の闇の中に、まるでそこには別世界があるかのように、満天に散りばめられた色鮮やかに光輝く小さな無数の光点 あるものは、ぽつんと1つ、あるもの無数が1つの塊、集団となって・・・ まるで眩い魅惑的な輝きを解き放ち だれもが、その妖艶で見る者全てを誘(いざな)う魔力にも似た魅力に引き込まれ虜になってしまいそうな程の幻想的な輝きを放つ宝石の様に 青、白、赤・・・の神秘的な色彩の光を放つ無数の美しい星々が、その存在を 一際際立たせている。  そんな宇宙空間を 1人の そうもうすぐ50歳に到達する男が、物思い耽ながら・・・ いや少し哀愁・・・ いやセンチメンタルなのだろうか? 見る人、つまり観察者がどうとらえるのか? よって違う 何を考え、何を想っているのだろうか? 何とも言えない 多分 ここまでの想いの全てが交錯する複雑な表情を浮かべながら見つめていた。  多分 ここまでの道のり、長い・・・永遠とも思える程長い道のり、決して平たんで、順風満帆ではなかった事を物語っている。  「もう あれから地球標準時間で、22年もの歳月が流れたのか・・・」  小さく、何かを思い出す様 ここまで過ぎ去った悠久の時間の流れの中で、もう2度と後戻りも出来ない出来ごと全てを吐き出す様 呟いた。  少し黄昏 感傷にしたっているのかも知れない。 過去と言う もう2度と取り戻すことの出来ない時間の流れを・・・  男は、ある事に気付き考え始めた。  時間の経過は、年齢を重ねるごとに1年と言う時間が、足早に過ぎ去っていく・・・ 子供の時よりも大人の方が、1年と言う時間が短く感じる 1年と言う時間は、大人も子供も同じはずなのに・・・ どうして、子供の時の1年は、こんなに長く感じ、年齢を重ね大人になるにつれ 1年と言う時間が、足早に過ぎ去っていくのだろう? 更に年齢を重ねれば、もっと早くなって行くのだろうか?  確かに、20世紀の史上最高の宇宙物理学者の1人 アルバート・アインシュタイン博士の 一般相対性理論にある時間のパラドックス理論を使えば、物体が光の速度 つまり光速に近づけば、近づく程 静止系に比べ時間の流れ、速度が相対的に遅くなるのだが・・・ 別に静止系と比較しなくとも それぞれ異なるスピードで動いていた場合 より速いスピードで動いていた方が、より時間の流れ、速度が、相対的に遅く進むのだが・・・ 大人に比べ子供の方が、じっとしている事が少なく 活発に動き回る その為か? つまりじっとしている 静止している大人に比べ 相対的に、早い速度で常に動き回っている・・・ だが、その程度スピード差 完全に無視出来るレベルにしか過ぎない。 子供が、限りなく光速に近いスピードで動き回っているのならば、話しが別だが・・・  例え光速に近いスピードの乗り物に乗っていても 静止系にいるのと同じ、1秒、1分、1時間・・・ 感じる時間の流れは、全く同じであるはず。 そんな考えが、頭のどこか過っていく。  もう1度 周囲を見渡す。 はたして、どの方向が上で、下なのか? 東西南北? 全く意味を持たない。  宇宙空間には、上も下、東も西も南も北もない。 自分の身体を基準に、頭のある方が上、足のある方が下 右腕がある方が右、左腕のある方が左と認識するしかないのだろう。  今 この男のいる場所は、そう前後直列2シートしかない 狭いコックピットの前席の操縦席。  20世紀後半 空母搭載型要撃用航空戦闘機として開発されたF-14トムキャットに似たフォルムを持つ航空宇宙戦闘機 ASF(Aero Space Fighter)-34 宇宙空間及び大気のある惑星、準惑星、衛星などに対応出来るよう高い汎用性を実現する為 2枚の大きな主翼を持つ と言っても可変翼が特徴の連合宇宙軍最新鋭の要撃用航空宇宙戦闘機。  当初 白兵戦も想定し2本足歩行可能な人型ロボットに変形する航空宇宙戦闘機の開発を目指したが、可動機構の複雑さや、可動部品、特に軸の強度確保を必要とする等の面から、工数など諸コストの上昇を招く事が問題視された。 また重量増加も大きな問題であり、更に、戦闘機としての操縦と、人型ロボットへの変形に伴う操縦系統の混雑さを招くなど様々な問題で実現に至らず、宇宙空間及び大気のある惑星、準惑星、衛星などに対応出来るよう高い汎用性実現に特化したASF-34が開発された。  大気の無い宇宙空間及び 収納スペースに限りのある宇宙空母内では、2枚の主翼が胴体に閉じた 丁度 デルタウィング(三角翼)の形となっているが、大気のある惑星、準惑星、衛星などでは、センサーが感知した飛行状況に応じて、2枚の主翼が、コンピューター制御により主翼の後退角を最大角から最小角まで、無段階に自由に変えられる最新の電子制御無段階可変スプリット・システム ECSRSS (Electronic Control Stepless Rariable Split System)を採用、翼幅を常時最適化する事により 高い運動性実現。 平たい胴体の発生する揚力とコンピューター制御による後退角最適化により旋回半径を小さくする効果など様々な利点がある。  また大気の無い宇宙空間でも 高い運動性を実現する為 機体の各部に高機動バーニヤを設置 高い運動性を実現させている。  現在 研究開発段階のクォーク(素粒子)の1種 ヒッグス粒子を利用した重力制御(グラビトン・コントロール)が可能となり 反重力システムが完成 実用化されれば、何世紀も渡って、謎とされその存在は、現在に至るまで未確認であり 必死にその存在を探し続けている 高度な文明 我々人類の最新のテクノロジーを遙かに超える驚異のオーバーテクノロジーを有すると言われる 現在にいたるまで未確認のEBE’s(Extra-terrestrial Biological Entities=地球外生命体)の高度なオーバーテクノロジーで開発された乗り物と言われる UFO(Unidentified Flying Object=未確認飛行物体)のように、FS(Flying Saucer=空飛ぶ円盤)タイプ つまり円盤型や、皿型の形状、外観になる。  だが、残念な事に、現在 捜索した数々の惑星、準惑星、衛星などには、EBE’s(Extra-terrestrial Biological Entities=地球外生命体)どころか、過去に原始的な単細胞生命すら誕生した痕跡も見つかっていない。  つまり調べた限りの惑星、準惑星、衛星などは、全て生命が存在した形跡の無い死の星であった。  それが、例え液体としての水、液化メタンなどが存在する惑星、準惑星、衛星などでも。  液化した水の中には、化学反応によって形成された 生命誕生に必要な有機物が、豊富に含まれた惑星、準惑星、衛星などでも 生命誕生に至っていなかった。  生命の定義とは、DNA,RNAの2つを持ち合わせている。 細胞壁を持ち自己複製する・・・ などと定義されているが、実は、現在に至るまで非常に曖昧であり 困難な問題で、明確な定義なされず。 生命とはいったい何なのか? 生きるとはいったい何なのか? 哲学上を含めて議論を続いている。  ちなみに、インフルエンザウイルス、AIDSウイルスなど ウイルス全般は、DNAか、RNAのどちらか一方しか持ち合わせていない・・・などの理由で、生命と定義されていない。  だが、いつの日か、必ず出会える日が来るはず・・・・ この広大な宇宙のどこかで・・・  地球の生命は、この宇宙で唯一の存在ではない。  主要搭載武器、火器類は。主翼の下部に、4発の高機動バーニヤ付きの多弾道ミサイルを搭載。  1発の親ミサイル内に、高機動バーニヤ付きの小型子ミサイル6発が収納されており あらかじめ機体に搭載されている戦術コンピューターと連動 それぞれ違った目標に向け発射可能。  機体動体の中央部分の上部には、半円球対応し、各々別方向に砲身を向け発射可能なレーザービーム砲が2門。  動体下部には、小型ながら出力の大きく水平面に対して、砲身を360度回転させ対応するブラスター砲1門。  レーザービーム砲及び、ブラスター砲は、通常時は、機体内部に収納されており 戦闘時に、機体内部からせり出す構造となっている。  機体前部には、1門の口径25mmガトリング砲(機関砲)が搭載されており 航空宇宙戦闘機としては、標準的装備であった。  破壊力の大きい大型火器類満載の大型戦略航空宇宙爆撃機の様な強力な武器は、搭載されておらず、スピードと、高い運動性と、高機動性を重視した機体であった。  もう1つの特徴は、この男が、独自に開発し搭載した最新鋭オリジナルの小型ながらもその移動距離が、最大100光年と、この時点最大10光年のワープ距離を大幅更新し過去最高の移動距離を実現 長距離ワープ時の最大の懸案事項であったワープアウトポイントの座標の狂いも解決 エネルギー消費量の大幅縮小及び エネルギー・チャージの時間も大幅短縮化した新型ワープ機関の搭載であった。  男の座る 前席の操縦席 狭いコックピットの中には、各種計器、刻一刻と変化する周囲の状況をデータ化、数値化する為のモニター画面など、機能的とは言え 所狭しと並べられている。  男は、進行方向にある ある1点を見つめた。  その1点は、周囲の宇宙空間とは、全く異なっている。  その1点は、宇宙の漆黒の闇とは、全く異なる世界 漆黒の闇すら存在しない 全く何もそこには存在しないと思われる世界。  なんとなくだが、ワープインする歳 発生させる虚無の領域3次元ワームホールに似ているのかも知れない。  コックピットにある各種センサーからのデータも そこには、何も存在していないと、言わんばか0(ゼロ)との表示しかなされていない。  いや 各種センサーによる計測不能である為だ。  だが、その1点の周囲、外縁部は、全くその1点とは、明らかに違う こちらは、余りの膨大なエネルギーを放出している為 計器の測定可能な上限値を悠に超えてしまっている。 数値化する事が出来ない。 いや数値化する事自体無意味だろう。  2次元面に対して、水平のディスク(円盤)型であり 地球を基準に、北極星のある方向を天頂とした場合 天頂から見下ろすと、丁度反時計周りに、自転しながら 影響を及ぼす勢力範囲内に捕えたあらゆる物質を 中心であるその1点に向かい反時計回りに渦を巻きながら光速で吸い込んでいる。  我々の住む銀河系を始めアンドロメダ銀河系などの渦巻銀河に似ていなくもない。 我々の住む銀河系は、現在 渦巻銀河ではなく、棒渦巻銀河である可能性が非常に高い。  実は、様々な銀河系の形は、中心部にある想像も絶する巨大質量を持ち 1つの銀河系全体に影響を及ぼす程の途方もない巨大な重力源でありながら その大きさは、信じられない程 小さなある特殊な天体が、自転しているのか? どうかで形作られていると言う仮説もある。  自転していれば、渦巻きの形になり していなければ、楕円銀河の形になるのでは? と言う仮説だ。 その1点の上下と表現するのが、適切どうか解らないが、対称的方向に対して、ジェットと呼ばれる 膨大なエネルギーを光の約90%の速度で噴出しており このエネルギーから生まれる星間物質は、後の恒星、惑星、準惑星、衛星、アステロイドベルト、はたまた生命の原材料の1部とさえなる。 その吸い込む力は、すさまじく例え光であっても その勢力圏内に入れば、脱出不可能 その1点に向かって吸い込まれていく、  その為 各種センサーによる計測が不能。  センサーから発した 各種電波、光など吸い込まれてしまい 反射して戻って来ない為だ。  勢力圏内に入った物質は、勢力圏内に入ると同時に急加速し 光速に達する前に、プラズマ化 膨大なエネルギーとなり その1点に向かい吸い込まれていく。  まさに、まだ未完成のM理論に元づく空間次元的解釈 座標軸を用いれば1次元の世界 全てが1つの方向に対してのみしか存在しない特異な世界であり ある意味非常に単純な世界でもある。  その1点の周囲、ディスク(円盤)型のその勢力圏内の領域は、まさに膨大なエネルギーが荒れ狂い渦巻く地獄の様な世界。  更に、その周囲の背景は、巨大な重力の影響力により時空間が、引き延ばされる影響により 時空面に対して直進する光さえ影響を受け、ねじ曲げられて、背景の星が集まるように見える。 まさに巨大重力による 重力レンズ効果。  そうこの1点こそ 我々の住む銀河系の中心部を始め ほぼ全ての銀河系の中心部や 無数に存在する各銀河系の内部にも存在する 巨大な質量を持つ恒星が、終焉時 重力が自らの質量に耐え切れなくなり重力崩壊後に誕生する重力の墓場と言うべき特殊な天体 アインシュタイン博士の一般相対性理論で、アインシュタイン方程式でその存在が予言されていたブラックホール。  実は、アインシュタイン博士自身 これは、机上理論上であり 実在しないと思っていた。  「俺は、遂に帰ってきたー!!」  「フェアリー 待っていろ 今 俺が、必ず助けるからなあー」  男は、ブラックホールに向かって、胸に秘めた想いの全てをぶつける様 大声で叫んだ。  今から地球標準時間で30年前 人類は滅亡の危機に瀕していた。  人口爆発、環境破壊による地球環境の人為的極端な変化など様々な問題が続出・・・ もはや残された時間は僅か。  そんな時 人類の長年の夢のテクノロジー 3次元ワームホールを人工的に発生させ 遠く離れた別の場所へ瞬時に通り抜ける つまりワープ機関の開発に成功。  最初の有人機を使った極秘実験 名誉あるテストパイロットに選ばれたフォッカー少佐の操縦するワープ機関を搭載した中型航空宇宙機によるワープ航法の実験は、無事成功した。 実験ポイントである 地球公転軌道上から虚無のエネルギーにより3次元ワームホールを人工的に発生させワープイン 同時に、ワープアウトポイントである木星公転軌道上に、電磁場を利用したバリヤーに包まれたフォッカー少佐が操縦する中型航空宇宙機は、ワープアウト、その姿を現した 0.1秒にも満たない僅かな時間で、地球公転軌道上から木星公転軌道上へ瞬時にワープしたのだ。  乗り込んでいたフォッカー少佐には、当初 予想されていた精神面の異常 その他 全く異常が見つからず、機体も全く損傷もなく大成功であった。  すぐさま実用化が開始され 人類は、我々の住む太陽系外の この広大な銀河系内に必ずある第2,3の地球を求め 大型化したワープ機関を 推進力エンジンを搭載したスペースコロニーに搭載 宇宙移民船団として、護衛の連合宇宙軍の艦艇に守られ 銀河系内の各地へと次々と旅立っていった。  21世紀初頭 クォーク(素粒子)の1つ ミューニュートリノが、光速を超えているのでは? と話題となったが、実験装置の不備などが見つかり 制度を高めた再実験の結果 ミューニュートリノと光の速さに明確な差は確認出来ず、誤差の範囲で同じだったと言う結果が得られ 結論に達した。  光以外の物質が、光速に到達する事も まして、光速を超える事も不可能。  空想である 光以外で、光速を超えるスピードを誇る “タキオン”  タキオンを利用した夢の超光速タキオン・エンジンの開発は夢と消え 3次元ワームホール利用したワープ航法以外 太陽系外への進出は、不可能であった。  だが、新たなハードウエアーであるワープ機関 やはり様々な問題点が続出した。  エネルギーの問題もあり1度にワープ出来る距離は、最大僅か1光年 1度ワープすると、エネルギー・チャージに最低地球標準時間で、3カ月もの時間を要した。  何よりも問題点は、長距離ワープを試みると、ワープアウトポイントの座標に大幅に狂いが生じる点であった。  近い距離ならば多少の誤差が生じても予想寛容範囲内であったが、1光年近くの長距離ワープを実行した場合 どこにワープアウトするのか? 全く別の場所にワープアウトするケースが多発 中には、そのまま行方不明に宇宙移民船団もいくつも存在する。  推測だが、狂ったワープアウトポイントに、ブラックホールがあり そのまま飲み込まれた可能性も否定出来ない。  ワープアウトポイントの座標の狂いにより 限度距離であるはずの1光年をケタ違いに上回る 数十光年、数百光年、数千光年もの想像出来ない距離までワーブアウトした実例もある程だ。  何故? この様な事が起きるのか? 原因は解っていない。  だが、例えワープアウトポイントの座標の狂いにより 限度距離であるはずの1光年をケタ違いの上回る 数十光年、数百光年、数千光年先へワープアウトしても エネルギーの消費量は、当初予定していたワープ距離分しか減っていないのも 問題を更に複雑にさせていた。  そんな宇宙移民が始まった初期に起きた。  俺の名前は、ラリー・バクナー 連合宇宙軍所属の大佐 年齢49歳。  今から地球標準時間で24年前 地球園から旅立った第17次宇宙移民船団の護衛する宇宙空母ミニッツを母艦とする連合宇宙艦隊所属の航空宇宙戦闘機のバイロットだった。  そして、推進力エンジンを搭載したスペースコロニー群を護衛しながら銀河系のある場所に向かい旅立った。 そこには、我々の住む太陽系と酷似した恒星系があり 地球と良く似た惑星が存在する可能性が高い恒星系であった。  そして、地球標準時間で旅立って2年後 何度目かのワープアウト後に、悲劇が起きた。  0.5光年の中距離ワープであったが、ワープアウトポイントの座標に大幅な狂いが生じた。  全く別の場所にワープアウト そこは、まだ何も調べられていない未知の宙域で、そこには、まだ未発見の比較的質量の小さなブラックホールが存在した。  もちろん 宇宙誕生直後 最初のインフレーションを起した際 古い真空エネルギー)が、新しい真空エネルギーに相転移する際 古い真空エネルギーの中に新しい低い真空エネルギーが至るところで、泡のように発生し急膨張し古い真空エネルギーを圧縮 圧縮された古い真空エネルギーは、自己の質量に耐え切れず極小の超ミニブラックホールが誕生するのだが、この超ミニブラックホールは、非常に寿命が短く瞬時に蒸発する。  この超ミニブラックホールと比較すれば、比較にならない程の巨大質量を持つが、この銀河系の中心部にある大質量ブラックホールと比較すれば、ささやかな程度の質量であった。  その為 今までだれも気付かず見逃されていた。  実は、ブラックホールと呼ばれる特異な天体 この宇宙、各銀河系内では、普遍的存在し 特に珍しい存在ではなかった。  無数、多数 この広大な銀河系、更に無限と思える程広大な宇宙に存在する。  周囲に展開するガスや埃で隠され 容易に発見が難しい為でもある。  それも最悪のワープアウトポイントで、ブラックホールの勢力圏内の外縁部 事象の地平線の周囲に展開するエルゴ球 もしくはエルゴ領域の丁度ボーダーライン 当時 俺は、護衛の為 宇宙戦闘機に乗っており スペースコロニー群の周囲を飛行していた 質量の軽い宇宙戦闘機は、外縁部のボーダーラインと言え巨大なエルギーと化した領域から弾かれる様 まさに強力なスイングバイ効果で、その危険な領域から離脱出来たものの 巨大な質量を持つ複数のスペースコロニー群、それらを護衛する母艦である宇宙空母ミニッツや護衛宇宙艦隊は、脱出もままならず、エルゴ球 もしくはエルゴ領域と呼ばれるブラックホールの勢力圏内を離脱する事が出来なかった。  通常 ブラックホールの勢力圏内 エルゴ球 もしくはエルゴ領域に取り込まれた全ての物質は、瞬時に光速近くまで加速され 例えそれが、波と粒子の2つの性質を持ち合わせ どちらか一方の性質を見ると、もう一方の性質が解らなくなる量子論の不確定性原理の性質を持つ素粒子の1つフォトン(光子)であっても 巨大なグラビトン(重力子)による時空間の引き延ばしにより その間に、プラズマ化しブラックホールの中心部 事象の地平線の更に内側にある 全ての物理法則が存在しえなくなると言う特異点へと吸い込まれてしまうのだが、俺は、信じている 第17次宇宙移民船団は、まだブラックホール勢力圏内外縁部のエルゴ球 もしくはエルゴ領域に吸い込まれ そのままプラズマ化し 一気に光速で、ブラックホーメの中心部 事象の地平線の内側の特異点に吸い込まれず、周囲に展開しているバリヤーによりプラズマ化せずに、亜光速で、ブラックホール勢力圏内外縁部のエルゴ球 もしくはエルゴ領域の周囲の外縁部のボーダーラインを周回し救助を待っていると・・・  ワープアウトポイントの座標の狂いは、量子論のニール・ボーア博士などが提唱したコペンハーゲン解釈 不確定性原理を用いて説明が試みられていた。  ワープアウトポイントは、全て不確実な確率論的にしか表す事が出来ない。  未来は、何1つ決定されていない。 ただ確率論的に表す事しか出来ず、その可能性が、高いか? 低いか?  だか、真っ向から否定する意見も多数存在する。 「神(神々)などと呼称する物は老獪だが悪意はない」、「神(神々) などと呼称する物はサイコロを振らない」 アインシュタイン博士の最大のライバル? と目される 量子論のニールス・ボーア博士のコペンハーゲン解釈 不確定性原理を否定する為に発言した有名な名言であり 「月は人が見ている時にだけ存在するのか?」 その問いに、量子論のコペンハーゲン解釈 不確定性原理では、未だ明確な答えが導き出せていない。 この時代まで続く アルバート・アインシュタイン博士の残した宿題でもある。 この2人の博士の偉大さは、コンピューターの無かった時代 数々の問題を 思考実験だけで導きだしてしまうところにある。 (ちなみに、アインシュタイン博士は、量子論の創設者の1人で、光量子仮説で、ノーベル賞受賞 量子論は公定 コペンハーゲン解釈 不確定性原理を否定)  全て不確実な確率論で決まるなど、それにはしては余りにも惨過ぎる。  ワープアウトポイントの座標は、全て不確実な確率論でしか表せないなど・・・  その為に 最悪のポイントにワープアウトしたのか?  まさに、原子核の周囲に存在する自由電子と同じ。  原子核には周囲には自由電子が存在する だが位置を特定すると、移動方向が解らなくなり 移動方向を特定すると、存在位置が特定出来ない。 まさに不確定性原理 どちらか一方を特定すると、もう一方が解らなくなってしまう。 他だし原子核に近い位置程 確率論的に存在する可能性が高く 遠くへ離れる程 確率論的に存在する可能性が低くなる。  これと良く似た現象とも言える。  2重スリット実験と同じ結果。  元々古典的思考実験であるのだが、電子銃から電子を発射 粒子と波動の二重性を典型的に示す実験。 この応用に、コペンハーゲン解釈や、シュレーディンガーの猫や、エヴェレットの多世界解釈などがある。  近距離ワープならば、ワープアウトポイントの座標の狂いは少なくなり つまり確率論的にそこへワープアウトする可能性が高くなり、中、長距離ワープになる程 ワープアウトポイントの座標の狂いは大きくなる。 つまり確率論的にそこへワープアウトする可能性が低くなってしまう。  つまりどこへワープアウトするのか? ワープの距離を決めると、方向が解らなくなってしまい 方向を決めると、距離が解らなくなってしまう。 目標ワープアウトポイントが、確率論的、相対的に、高いか? 低いか? だけの違い。  その昔 自らの自己矛盾により自己崩壊、自滅した宗教などと呼称する 単純明快な勧善懲悪を自らデッチ上げ、信者と呼ばれる人々を自らの都合のよいようにマインドコントロール洗脳、(精神支配)し 聖書、経典などと呼称する 狭く、閉ざされた 非常に視野の狭い極小の考えを唯一絶対の正義と呼称し、それ以外を全て悪とか、悪魔などと呼称する物とし一切認めず、それ以外の自由意思による自由な思考を閉ざす 怪しげで、欺瞞の塊であり、野蛮で、粗野で、凶暴極まりないまやかしがまかり通っていた時代 その信仰などと呼称するもの対象とされる全智全能などと嘯く 神もしくは、神々などと呼称する物が存在したならば、これを恨むしかない。  全て、全知全能など嘯く、神(神々)などと呼称する物の定めた運命・・・・ など、俺は、絶対認めない。  そして、その推進力エンジンを搭載したスペースコロニー群の1基に、俺が愛し将来を約束したフィアンセであるフェアリーが、俺の救助を待っていると・・・ エルゴ球 もしくはエルゴ領域の外側の境界は静止限界と呼ばれる。 静止限界では、空間が静止した空間からみてちょうど光速度で引きずられており、光速で動く物体が無限遠の宇宙に対して静止する。 この境界の外側の空間は、引きずられてはいるが光速よりは遅いはず・・・・  そこには、必ず第17次宇宙移民船団が救助を待っているはずだ。  可能性は、確かに低い だが、0(ゼロ)ではない・・・・  俺は、必ず最愛のフィアンセ 愛するフェアリーを取り戻し この手で・・・・ この手で、抱きしめてみせる。  俺と彼女の出会いは、そう あの日から始まった・・・  それは、地球園を旅立ってから約1年過ぎ去ったあの日出来事だった。  第17次宇宙移民船団  第17番目に、地球圏から銀河系のある場所に、旅立っていった宇宙移民船団。  大、中10基のスペースコロニーに推進力エンジンを搭載 他に、いくつもの農業プラント、工業プラント、アミューズメント施設などの小型スペースコロニーを併設 連合宇宙軍所属 旗艦 宇宙空母ミニッツを中心とした第118宇宙艦隊の護衛のもとに、ニューフロンティア 第2、3の地球を求め 今から24年前 地球圏から銀河系内へ旅立った宇宙移民船団。  人口約5000万人、  1つの都市国家としての自給自足可能な各種機能を有していた。